歩行というものを勉強していると必ず一度は目にするのがCPGという言葉。
よくCPGという言葉は聞くけど、これって一体何で、どういった作用があるのかって中々理解するのが難しいかと思います。
言葉ではわかってるけど、臨床でどうやって活かせば良いのかなっていうのが正直な疑問だと思います。
今回はこのCPGについて、どのようにこの知識を使って臨床を見ていけばよいのかという点についてお伝えしていきたいと思います。
CPG(Central Pattern Generator)とは
そもそも、CPGとは何なのかについて考えてみたいと思います。
CPGとはCentral Pattern Generatorの略で、Central=中枢、Pattern=パターン(型、様式)、Generator=発生させるという英語だけを取り出すとこういった意味になります。
歩行においては中枢パターン発生器として、脊髄内に存在するとされています。
といわれても・・・正直よくわかりませんよね?
こういった考えはロボット工学なども用いられるのですが、我々が歩行をする際には普段どうやって足を出そうとか、どこにどれぐらい力をいれようとかってことはあまり意識に上ることがない(つまり無意識下ということ)のが実際です(跨いだり、方向転換したり、歩き出すときは例外ですが)。
これがなぜ意識に上らずできるかというと、いちいちこういったことを脳で考え、それに応じて脳から指令を絶えずコントロールしながら出すとなると、歩くこと自体がかなりの労力を伴うことになります。
現に、高齢者や脳卒中後遺症をお持ちの方で、自身の身体コントロールに何らかの障害を負った場合には、この無意識下での歩行が行いにくく、かなり疲労感を訴える方は非常に多いです。
それほど、無意識下で歩くことができるということは非常に重要で、その機能を担うのがこのCPGになるとされているのです。
では、もう少しCPGについて細かくみていきましょう。
CPGを理解する
ここではCPGについて、書籍などで書かれていることを参考に理解を深めていきます。
高位中枢で決定された歩行開始の指令は、中脳歩行誘発野など脳幹の歩行中枢を賦活し、最終的に脊髄へと伝達される。
そこから時空間的にパターン化した運動出力を生成する神経機構が、いわゆるセントラルパターンジェネレーター(CPG:Central Pattern Generator)である。
この様に、脳幹や脊髄内に基盤となる神経機構が存在する。
歩行時におけるリズミカルな肢運動や姿勢制御は、無意識かつ自動的に遂行され、この過程には脳幹と脊髄におけるsensory-motor integrationが重要な役割を果たす。
また、歩行にはリズミカルな肢運動とともに頭頚部・体幹・上下肢のアライメントや筋緊張の制御が必要である。
これは、歩行リズム生成系と筋緊張制御系の協調的作用により実現される。
~『歩行を診る―観察から始める理学療法実践 』より引用~
というように記載されています。
つまり、まとめると歩行という動作においてCPGは
- 脳幹や脊髄内に基盤となる神経機構が存在
- 運動出力に関与
- 感覚入力を受ける
といった3つことに分けて考えることができます。
つまり、これら3つが歩行においてどういった役割があるのかという部分を紐解いていけば、臨床場面においても歩行の治療に何らかのヒントがあるということになります。
そこでもう少しCPGという機能を紐解いていきたいと思います。
CPGとは何ものなのか?
CPGとは脊髄の中に存在する神経核になります。
そして、その脊髄内の核には大きく2つの機能を有しています。
1つ目は歩行に必要なリズムを形成する機能と、2つ目は歩行に必要なパターンを形成する機能になります。
歩行におけるCPGの機能
- 歩行に必要なリズム形成
- 歩行に必要なパターンの形成
これら2つの機能により決められた運動指令が、最終的に歩行に必要な下肢の筋活動を作り出し、歩行動作を円滑にするために作用します。
そして、これらは脳からの運動指令として中脳にある歩行誘発野(MLR)から情報が出されます。
そして、もう一つ大事な要素として、感覚入力によりCPGの2つの機能がさらに情報入力として関わってきます。
このために必要なのが歩行時の立脚後期での腸腰筋、下腿三頭筋の伸張性が重要になってくるのです。
ではそれをどのように臨床で引き出すのかという部分を、支部セミナーや歩行セミナーではお伝えしていきたいと思います。
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では、実際これらの要素から歩行を見た場合に、どういったことを考えていけば良いのでしょうか?
CPGの機能を考える上で大事なこと
そこで大事なこととして、CPGの機能を理解することはもちろんですが、もっと重要なことがあります。
それは、なぜ症例ではこのCPGが機能しにくくなるのかという点と、どうすればCPGが機能しやすくなるかを知ることになります。
CPGが働きにくくなる原因は運動麻痺や筋緊張の問題により脊髄と筋肉におけるループの問題が大きく関与するケースを臨床場面では遭遇します。
特に多くみられるのが伸張反射の異常による痙性などの問題です。
これらメカニズムを把握することが治療においては重要となり、そしてそれをどのように効率よく働かせるかが脳からの下行性のメカニズムを理解することが重要となるのです。
これら機能を活かすための臨床的工夫やCPGに関する詳しい解説は、以下の脳外臨床研究会支部セミナーでお伝えさせてもらっています。
こちらの支部セミナーは関西中心のセミナーにはなりますので、ご興味がある方は夜の二時間で参加しやすいセミナーとなっていますので是非お待ちしております。
またCPGの機能については、各地域の歩行セミナーの第2回でも少し話をさせてもらっていますので、ご興味がある方は是非そちらもご覧ください。