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立脚中期を作るためのバランス機能~前庭機能をどう臨床に活かすのか~

臨床場面においてバランス能力の障害や姿勢保持能力の問題はよく直面する課題ではないでしょうか?

特に歩行においては重心と支持基底面を常に変化させながらヒトとという物体を移動させる一つの手段となるため、このバランス機能の獲得が臨床場面においても非常に重要となってきます。

では、そのバランスというものを我々は臨床の中でどのように考えていく必要があるのでしょうか?

そして、このバランスという機能をどのように脳機能から紐解き、治療に繋げていけばよいのでしょうか?

今回はバランス機能においても非常に重要な、前庭機能についてまとめていきたいと思います。

バランス障害ってなに?

まずはバランスというのものが何なのかをみていきたいと思います。

そもそもバランスとは、何を指すのでしょうか?

バランスとは?

ヒトがある環境における運動遂行のために、感覚を処理し、重心を一定あるいは移動する支持基底面に維持するために適切に処理を行うことである

と定義されています。

つまり、まずみるべき評価のポイントは支持基底面(BOS)がどうなっているのか、そしてその際に重心(COG)重力環境下においてどのようにコントロールされているのか

これを臨床場面では細かく評価していく必要があります。

支持基底面とは、立位であれば足底で作られる支えることができる面のことを指し、これに杖などの別の支持物が増えると支持基底面は広がります。

それに対して重心(COG)を見る際のポイントには、上半身重心と下半身重心の中点である、仙骨付近に存在するヒトという物体の質量中心が存在します。

つまり、この支持基底面の中に重心がとどまっている状態が安定している状態であり、これをバランスが良い状態といい、

支持基底面から重心がはずれることで不安定になる状態バランスが悪い状態と判断します。

では、この支持基底面の中に重心をとどめておくためにはどういったことが必要になってくるのでしょうか?

それが、下記の様々な感覚情報であり、体が動いたというような筋紡錘や関節受容器からの情報入力ももちろん重要になってきますが、

ここにもうひとつ前庭感覚としての情報入力が重要になってくるのです。

筋紡錘による感覚情報入力の重要性や筋緊張の作用に関しては以下の内容もご参考にしてみてください!
歩行機能に活かすための被殻出血例における筋緊張の考え方

バランス機能を歩行から評価する

このバランス機能の評価は歩行などにおいても非常に重要となり、歩行とは基本的に重心を支持基底面の中から外していくことで、重心を動かすためのエネルギーを生じさせます。

それによってある意味転倒しそうになるのをステップとして、新しく支持基底面を作り出し、そこに重心を再び移動させる、いわば転倒の連続といったような要素が必要になってきます。

これを動歩行といい、ヒトが効率的にスピードや歩行距離に必要な耐久性を求めるためには『必要不可欠な歩き方』になってきます。

それに対して、脳卒中患者様の多くは支持基底面から重心を外すことができず、いわば支持基底面内に重心を常にとどめながら歩くのが特徴です。

これを静歩行といい、歩行の効率性はさがることで、歩くときに随意的要素が必要となり、『歩くとすぐ疲れる』といったことが生じるのです。

歩行評価のポイント
支持基底面の中でいかに重心をコントロールしているのか、そして、その重心をコントロールするために歩行のどの時期でのどういった下肢や体幹の筋活動や作用が必要になるのか

歩行セミナーでは主に歩行時の評価として重心コントロールという観点から歩行を分析することを行っており、その際の重心の評価を上半身重心から探すということを行います。

その際に見るべきポイントが頭部の位置と胸郭の傾きといった要素になります。

歩行セミナーより一部抜粋

これらを評価しつつ、どうすれば上半身重心が崩れずに歩行できるのかを、実技などを通してセミナーでお伝えしておりますので、日々の歩行治療や立位場面でのADL介入に難渋される方は是非ご参加ください。

2019年度歩行DM(6つの戦略)

また脳画像セミナーと歩行セミナーのコラボセミナーの中でもPTだけでなくOTも歩行に介入するためのヒントが詰まった『脳機能から考える歩行の見方』についてもセミナーを行いますので、そちらもチェックしてみてください!

参考 12月7日脳画像×歩行コラボセミナー(in 大阪)脳外臨床研究会公式サイト

では、これらのバランス機能をどのように前庭系がコントロールしているのかについてまとめていきたいと思います。

バランス機能に関わる前庭神経核とは?

では、実際に前庭神経核の機能を見ていく前にまずは、その前庭神経核に入ってくる情報源をみていく必要があります。

つまりinputはどこから入り、どこで処理され、どうoutputされるのか、この流れをまずは把握することです。

これらによって前庭神経核は平衡感覚保持が可能となり、立位や歩行といった動作の安定性が確保されるのです。

どはこれらのinputの要素としてどういった感覚が入力されるのでしょうか?

ここで重要なのが、耳の中にある三半規管と耳石の機能になります。

バランスに関わる感覚受容器
  • 三半規管:回転性の加速度を感知
  • 耳石器:垂直方向や水平方向の加速度を感知

これらは耳の中にあるため、頭部が動くことで2つの受容器が発火し、自己身体がどの方向に動いたのかを感知する役割を持っています。

そして、これを壊すのが『ぐるぐるバット』で、あれを行うことで頭部が振られることで、2つの感覚がエラーを起こすし、自分の意図しない方向に急に体が降られたり、それこそ立っておくことができないようなバランス障害が生じるのです。

では、なぜこのように頭部が振られたりすることによる三半規管や耳石への感覚入力によって自己身体に影響を及ぼすのかというと、この受容器からの情報が前庭神経核を介して、身体に影響を及ぼすからです。

その一つが前庭動眼反射といわれるもので、これは首を回転した方向が発火し、回転した方向と反対側に眼球運動がおこる現象のことを指します。

つまり、前庭機能の評価をする際にはまずは頭部の回転に伴う眼球運動を評価することが必要になってくるのです。

そして、その他のoutputの要素としては、全身の筋(特に抗重力筋)への作用です。

頭部の動きに対して、耳石器が垂直方向への加速度を感知することで、前庭脊髄路を介して、抗重力筋の筋緊張を高めることがいわれています。

つまり、歩行などでも垂直方向に加速度が生じること(立脚中期の最も重心が持ち上がるフェーズなど)で、抗重力筋の筋緊張が高まります。

重力環境下で自己身体の重心を支えるために非常に重要になってきて、これらの機能障害によって、立脚中期に股関節や膝が屈曲するという重力に抗せない現象が生じるのです。

すなわち、これらを評価・治療する際のポイントしては、頭部を動かすことによって眼球運動がどうなるのか、そして全身の筋緊張がどのように変化するのかを見る必要があります。

そのために立位や歩行などのより前庭系が発火しやすい場面で治療することも大事ですが、寝返りなどの環境の中でいかに頭部を動かし、支持側の下肢の伸展相を出した状態(足が伸展位で荷重をうけてるような環境を作り)で治療を行うのかという治療のヴァリエーションを持つことも重要となってくるです。

そして、これらを残存機能として評価する際の脳画像では、橋の下部を見る必要があります。

脳画像から考える(橋下部レベル)

バランス能力に関わる前庭神経核は橋部分の後方に位置します。

ここは小脳脚とも密接に関わる部位になってくるので、小脳や橋の脳障害にバランス障害は起因されやすいので、症状や現象の理解と障害部位との照合は非常に重要になってきます。

この前庭系が発火することで起こる筋緊張などに関しては、さらに細かく小脳機能との関係性や基底核の影響なども考えながら、どのように脳卒中患者様の筋緊張を考えるかを、歩行セミナーではさらに深堀していきながら、実際の実技提示をしながらお伝えしていきたいと思います。

第4回『MSt編』
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第5回『体幹・上肢編』
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