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立脚期に重要なヒールロッカーの作用とみるべき歩行分析のポイントは?

歩行を考える上で重要な3つのロッカー機構は、特に立脚期における前方への重心移動の際に非常に重要となります。

またそれだけではなく、立脚期に生じる重心の上下動に対しても、このロッカー機構が働くことで、衝撃吸収や、エネルギー変換に非常に重要な役割を果たします。

その中でも、このロッカー機構が働くために、まずは第一に起こりうる踵を軸にした足関節の回転運動であるヒールロッカー(heel rocker)の重要性が挙げられます。

そして、前回の記事ではそのヒールロッカーを作り出すために必要な前脛骨筋の作用について簡単にまとめてみました。

歩行に必要なロッカーファンクション:踵接地に重要な前脛骨筋の作用とは?

今回はこのヒールロッカーによって引き起こされる歩行時の作用について考えてみたいと思います。

ヒールロッカーの役割

ヒールロッカーにおける重要な役割の一つに、重心の落下に対する衝撃吸収作用があります。

このヒールロッカーが生じる歩行動作で見て欲しいのは、足関節が背屈位をとることで踵から接地するといった現象が起こります。

実はこの時、身体重心は高い位置にあるところから約2cmほど下降する(この時に体重の1.3~1.5倍程度の衝撃が加わるといわれています)のですが、その下降した重心に対して下肢や体幹などが崩れないように、多数の下肢筋群が動員されます。

その時に生じる下肢筋群の筋活動パターンは遠心性の活動を起こすことで、この重心落下に対する衝撃吸収に作用するとされています。

しかし、この時に下肢筋群が常に遠心性活動を行い、衝撃吸収のみに作用するのであれば、下肢全体は剛性を高めた状態となり、円滑な重心移動が行えなくなってしまいます。

それでは、歩行というなめらかな動きを作り出すことができず、昔に流行ったロボットのアシモのように一歩一歩がすごく機械的でスムーズな重心移動が行えなくなってしまうのです。

その状態では、歩行という連続動作が一回一回停止してしまい、それだけでも効率性は低下し、歩行時の仕事量はかなり高くなってしまいます。

そうならないためには、実は踵接地した際には、身体重心を如何にスムーズに前方に送り出せるかが重要なカギになってきます。

大事なことは関節運動ではなく、踵の形状?

その時に大事になってくるのが、このヒールロッカーで、実は他のロッカー機構とは唯一違った作用で、重心移動を助けるという事になります。

それは、踵の形状を使って、前方へ重心が移動することで、他のロッカー機構と違い、関節運動以外での回転運動を起こしているということになります。

そして、このヒールロッカーにより重心移動がスムーズに行えることで、その次のアンクルロッカーに移行するための準備を作り出すことができるのです。

踵接地した際には、床から受ける反力(床反力)は、足関節の回転軸(底背屈運動に対する)に対して、後方を通るため、足関節に対しては底屈方向への力が生じます(これを回転モーメントと呼ぶ)。

その動きに対して、特に下腿前面筋である前脛骨筋が遠心的に活動を起こることで、下腿が前方へゆるやかに傾倒していき、より足底全体で支持することに繋がり、立脚期での安定性に寄与します。

それと同時に大腿部に対しては、大腿四頭筋も遠心的に活動することで、下腿に対して大腿を前方へ引きつけることで、重心の上方移動に起因するとされています。

つまり、このヒールロッカーの機能により、重心下降をコントロールしながら、次に向かう重心の移動を作り出す最初の相となるのです。

臨床場面で着目すべきヒーローロッカーの機能

臨床場面で問題となるのは、このヒールロッカーそのものが起こらないということではなく(踵からしっかり踏み込めれば骨の形状を活かせるため)、踵接地を作り出す足関節背屈に対する随意的要素が障害を受けやすいということになります。

そして、それだけではなく、踵の動きに対して特に下腿の前方移動が起こらないと、その後の身体重心が最も高くなる立脚中期を迎えることができなくなってしまいます。

この時に片麻痺患者さんが起こす現象としては、下腿が前方へ倒れず後方に残ったままとなり、反張膝での支持となるケースが多いと思います。

そうならないためにも、踵が着いた後にどのように下腿が動くのか、そしてその時に前脛骨筋が如何に遠心的に制御できるかをしっかり観察することが必要になります。

ヒールロッカーでみるべきポイント

  • 重心下降に伴う衝撃吸収作用
  • 踵骨形状による前方回転(その際の足関節背屈位保持)
  • 下腿前方コントロールに対する前脛骨筋遠心性活動

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