9月8日起き上がりにおけるon elbowでの肩の支持性(詳細はクリック)

歩行における運動麻痺の解釈に必要なたった1つの大事なポイントとは?

そもそも運動麻痺ってどういったことが問題になるの?

良く講習会などで聞く“歩行において随意的要素は少ない”という言葉。

神経システムをみてみても、歩行はオートマチック(自動的)な要素が多く、歩き出しやまたぎ動作、方向転換など以外はあまり運動麻痺の影響を受けないということを耳にします。

では、一体運動麻痺とは何なのか?

そして、歩行動作において運動麻痺の影響ってどういったところにでてくるのか?

今回は運動麻痺ついて考えてみたいと思います。

運動麻痺とは

そもそも運動麻痺とはどういった障害なのでしょうか?

運動麻痺というものを調べていくと、このように記載されています。

運動麻痺とは、

運動麻痺を随意運動障害と考えると、随意運動の経路である皮質脊髄路、すなわち錐体路を理解するとメカニズムの説明ができる。Wikipediaより引用

中枢神経系や末梢神経の障害によって主に四肢などの運動機能が喪失している状態を指す。

運動機能は、随意運動・不随意運動・協調運動などがあるが、一般的な運動麻痺は随意運動の障害を表す。

中枢神経障害による運動麻痺の発生メカニズムについて知るためには、随意運動の下行経路の理解が必須となる。

(神経理学療法学:運動麻痺の章より引用)

脳卒中片麻痺患者さんにおける運動麻痺の問題はもちろん脳の障害によるものなので、中枢神経障害にあたります。

つまり、脳卒中における運動麻痺とは随意運動の障害で、その随意運動を司る下行路に何かしらの障害がでた場合に出現するということがわかります。

では、まずは患者さんの歩行をみた際には、現象を捉えるよりも、その方に運動麻痺があるのかないのか、もし麻痺がある場合にはどの程度の強さ(障害の程度の大きさ)で出現しているのか?

そして、どの部位の障害がでているのかを、最低限知る必要があります。

運動麻痺をみるための3つのポイント
  1. 運動麻痺があるかないか
  2. 運動麻痺の程度はどれくらい
  3. どこの障害での運動麻痺なのか

これをまずは知ることが、歩行において運動麻痺がどの程度影響を及ぼすのかの第一歩となります。

では、次に実際に運動麻痺を司る脳の部位や下行路についてまとめていきたいと思います。

運動麻痺に関わる脳の部位

運動麻痺に関わる脳部位を知る前に、まずは簡単に脳の機能について触れてみたいと思います。

脳は構造上、神経核という機能を有する細胞体が集まる部分を灰白質と、その核と核を結びつける神経線維(軸索)である白質という部分に大きく分けられます。

例えるなら、灰白質が駅の機能白質が線路の役割といったところでしょうか?

それは随意運動を司る機能も同様で、運動出力の出発地点がどこで、到着地点がどこで、それをつなぐ線路がどこを通ているかを知る必要があります。

出発地点は大脳皮質における一次運動野(ブロードマン4野)がそれにあたります。

他にも歩行に関しては一次運動野の前方にある運動前野や補足運動野といった高次運動野といわれる機能も大変重要になりますが、今回は随意運動に関わる部分にフォーカスをあてて進めていきます。

一次運動野を出発として下行した線維は最終地点として脊髄の前角細胞に到達します。

なので、それぞれの部分を繋げて、皮質(大脳皮質の一次運動野)脊髄(脊髄の前角細胞)路(つなぐ路)という言い方をします。

脳から考える運動麻痺
  1. 駅の機能をもつ一次運動野から出発する(灰白質)
  2. 線路の機能をもつ皮質脊髄路を下行する(白質)
  3. 最終地点は脊髄の前角細胞に到達する

運動麻痺はどこの障害で出現するの?

出発地点と到着地点がわかればあとはこれがどこを通っているかを知る必要があります。

この皮質脊髄路が通る箇所において知っておいてほしいのが、大きく分けると放線冠、内包後脚、大脳脚という部分になります。

これら皮質脊髄路が通る放線冠や内包後脚といった部位に、脳梗塞や脳出血が生じればもちろん運動麻痺が出現してきます。

でも、その運動麻痺の出現って人それぞれ必ずしも症状が一緒というわけではありません。

そこには、脳のどういった障害によって麻痺がどの程度出現するかは大きく予後にも関わってきます。

しかし、実際の臨床場面ではこの部位それぞれがどの程度障害を負っているのかを患者さんから直接読み解くことは不可能です(ある程度臨床経験を積むと憶測ではあるけどどういった麻痺でどの程度っていう見解は立てれますが)。

でも、それも確実にそして簡単に見分ける方法があります。

それが脳画像です。

脳画像を通してどこに障害がでているのかを判断することで、その方の運動麻痺の程度をある程度予測し、知ることができます。

そして実は、障害部位においても麻痺の出現程度や予後、それが歩行という場面になった際にどういった障害の特徴としてでてくるのかが分かれてきます。

当セミナーではこの運動麻痺の程度に対して、まずは脳画像から皮質脊髄路の同定をしたり、どの部位の障害によって歩行においてどういった問題が生じているかという部分を患者さんの動画を通して紐解いていきます。

そして、運動麻痺でも障害の程度(例えば評価に用いるブルンストロームステージのような客観的指標の中で)に対して、どういったことを気を付けながらアプローチをすれば良いかというような治療のコツもお伝えさせてもらいます。

当セミナーで学べるポイント
  1. 脳画像や機能から運動麻痺というものの病態を知れる
  2. その病態が歩行にどういった影響を与えるかを知れる
  3. 運動麻痺に対するアプローチの方法が知れる

運動麻痺に関するセミナー案内

コチラのセミナーは以前大阪で実施しましたが、非常に多くの方に興味を持っていただき、そして実際の実技を通して治療のアドバイスもさせて頂きました。

今年からは脳外臨床研究会での歩行セミナーが各地域でも実施されますので、是非興味のある方はご参加ください。

 

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