9月8日起き上がりにおけるon elbowでの肩の支持性(詳細はクリック)

脳機能の評価と治療の考え方!

脳卒中患者様をみる際の注意点

脳卒中患者様において治療対象となる部位はどこだと思いますか? そして普段の臨床場面において患者様のどの部分に治療部位を決め、リハビリを行っていますか? まず明確にしないといけないのは、評価している部分と治療対象の部分は一緒でないといけない、ということです。 特に、運動麻痺なのか筋緊張なのか、患者様の「脳のどの部位」を治療しているのか?を考えなければなりません。   それは、脳卒中という病態そのものが『脳自体の問題』となるため、 いくらベッド上で筋肉をマッサージしたり、関節運動の練習をしていても、 脳そのものに対してどういった目的で治療していくかを明確にしていかないと、 その脳機能自体を変化させることはできません。 例えば、マッサージをするひとつにしても、何を目的にしているのかを明確にする必要があります。 随意運動を引き出したかったり、筋緊張をあげたいのであれば、マッサージとは別の方法を取る必要があります。 それは問題が脳そのものにあり、手足を動かすには、この脳からの直接的な指令が必要になってくるからです。  
注意
マッサージや関節運動自体が脳への刺激になっていないというわけではありません。 マッサージなども筋肉(しいては筋紡錘)に対して、どういった刺激入力をなんの目的で実施しているのか、関節運動を介してどういった受容器からの感覚情報フィードバックを脳へ入力しているのか、など、そこに脳を変えるという目的を是非持ってほしいということになります。
つまり、脳を治療対象とするためには、まずは脳のどこを損傷しているか を知ることが大事であり、ただ単なる現象に対する対処療法ではダメです!
対処療法とは
例えば上肢のリーチの際に肩が代償的にあがる。 その原因の一つに肩甲骨が挙上位になっているから、 肩甲骨周囲の筋をマッサージでゆるめていくといったことです。
つまり大事なことは、現象に対する原因がどこにあるのか?をみつけていくことが必要になってきます。   その際に、その主原因である脳がどのように損傷を受け、どんな機能が残存もしくは障害され、その脳に対してどんな治療展開を考えていくかを明確にしていく必要があります。   それには脳画像をみることは必須の知識となり、脳卒中という病気そのものがどんな障害なのかを知る必要があります。   その際に重要なことは、脳卒中患者様の呈する現象や症状だけで判断しないことです。 まず大事なことは、それを引き起こしている脳の原因がどこにあるのか。 そのためにまず第一段階として脳画像を用いることは、患者様がもつ真の問題点を明確にするためのツールになりえるこということに繋がるのです!   ただ一概に脳画像をみるといっても、脳画像はCTやMRI、そしてMRIの中でも沢山の種類がある。
    • どれから見れば良いのか?
    • 何をみれば良いのか?
    • どこを見たら良いのか?
などなど、迷うことが多いのではないでしょうか? 脳画像をみるためには”みるためのコツ”も、もちろん必要です。 そのためにも、まずは脳卒中が何なのかを明確にしていく必要があります。 まずは脳卒中の種類についてまとめていきます!

そもそも脳卒中とは?

まず脳卒中の患者様を担当するときに確認すべきことは、その患者様の脳卒中の原因が、 脳梗塞脳出血かのどちらなのか?ということです。 この脳梗塞脳出血は同じ脳血管の問題ではありますが、 それによって生じる 脳の器質的変化可塑的変化 などには違いがあり、 またそこから どういった患者様の情報収集が必要で、 その時期に応じて何を治療展開の中で 考えていく必要があるかを 把握することが重要になってきます。   その際に、セラピストは 診断を下すことはできないため、 まずはカルテからの情報収集を していくことから始めましょう。

脳梗塞を考える

まずは脳梗塞についてですが、 脳梗塞は脳の血管が詰まった障害となり、 脳そのものに血管配給がいかなくなった状態 のことを指し、   それにより脳神経そのものの働きが遮断され 脳の虚血状態によって 脳機能が壊死もしくは機能低下を 引き起こしてしまうような状態 のことを言います。   障害部位により様々な局所神経症状を 呈するが、 基本は血管支配領域に依存します (ある程度狭窄部位により でる症状が決まってくる)。   その中には血管の詰まり具合や原因によって さらに細かく分類され、
  1. ラクナ梗塞
  2. アテローム血栓性脳梗塞
  3. 心原生脳塞栓症
の3つに分類されます。 なぜ、こういった原因をしっかり判断する 必要があるのか? というと、これが離床やリスク管理を していく際にも 非常に重要になってくるからです。 また、アテローム血栓性の問題から 血管壁の問題を意識しながら、 特に急性期などでは、 体動時や姿勢変換時に どのように血圧変動が あるのかを細かく把握していく 必要があります。 さらに血液データなども 読み解いていきながら、 どういったことを考え離床などを 実施していくべきか、 早期離床をしていくうえでの リスク管理を考える際にも 看護師さんやDrなどとの多職種としての チームアプローチにも 非常に関わりが重要となってくるので、 そういった病態把握においても是非 知識としては知っておく必要があるのです。 そして、心原性の問題であれば、 心臓などの循環器系に対する評価や運動負荷量、 運動前後の患者様の状態把握も 非常に重要なります。   そういった心機能に関しても、 細かい部分の評価が苦手 もしくは知らない場合は 脈拍自体の変動や呼吸数などを 把握するだけでも、 運動負荷などに対して どのように配慮すべきかの 指標につながってくるのです。   こういったように脳梗塞でも、 どういった血管の障害かを 理解・把握することで リスク管理やリハビリにも 大きく影響を及ぼすことを 知れるのではないかと思っています。   そして、さらに踏み込んでいくと、 脳梗塞の特徴としてもう一つ重要なのが、 脳の領域の中でも血管そのものが 支配している領域が決まっているため、 どの血管が詰まったかによって 出てくるであろう症状が おおよそ同じになるということです。 つまり脳梗塞の患者さんをみる場合には、 どの血管が詰まったのかを知り、 そこに関わる脳部位や機能を 十分理解しておく必要があります。
注意
例えば、中大脳動脈の梗塞なら 大脳皮質の一次運動野の領域でも より手の領域に強く障害が出たり (前大脳動脈は大脳皮質でも内側の下肢の領域に)、 内頚動脈からの分岐する被殻に血管栄養をする レンズ核線条体動脈などにも梗塞が及ぶため 基底核ループが関与する 筋緊張や運動学習などの影響を 考慮する必要がでてくるのです。
そして、それを明確に確認するためにも 脳画像をみれる必要がある ということになるのです!

脳出血を考える

では、次に脳出血の場合はどうなのでしょうか? 脳出血の場合は、 血管が破れる障害となるため、 その血腫により出血部位だけじゃなく、 周辺にも脳の器質的障害が生じてしまう ということがあります。

CT画像の発症時期の変化はこちら

  その中でもよく臨床場面でみる 被殻や視床出血は脳出血の中でも7割程度を示し、 それぞれにどういった機能があるのか、 そして脳の障害により どういった症状が現れるのか 十分理解しておく必要があります。 また出血に関しては、 血管が破れる障害のため、 血圧に関してのコントロール及び それが一日の中でも運動時や安静時で どのように変化していくのかの変化率が 非常に重要となってきます。   つまり脳梗塞と脳出血を理解することで、 リスク管理に対する考え方が全く異なる ことになるのです。   これは脳卒中ガイドラインにも 記載がありますが、 それぞれの病態に応じて 血圧のコントロールに関しても 十分に理解しておく必要があるので、 是非急性期に関わるセラピストの皆様は 注意をしておいてください。

脳卒中ガイドライン2009より抜粋

  あともう一つ重要なこととして、 脳梗塞と脳出血では大きな違い があります。   それは、脳梗塞では ある程度の脳の中でも決まった 血管支配領域があるため、 同じ部位の障害のケースにおいても 大きな症状の違いをみることは 少ないことに対して 脳出血では、同じ被殻出血という診断名でも でる症状が全く異なるケースが あるということに 注意が必要になってきます。   つまり脳出血をみる場合には、 脳梗塞のようにどこの血管の障害で どういった症状がでるという 解釈ではなく、 出血した血腫がどのように広がって、 脳実質に影響を与えているのかを 知る必要があるということです!   そのため、脳出血ではより細かく 脳機能の解剖を知らなければ、 脳の障害部位と臨床症状が マッチしない ことに繋がります! このように脳梗塞と脳出血でも みるべき脳画像のポイントが 異なるということを 十分に理解しておく必要があります。

まとめ

脳機能の評価と治療の考え方に必要なこと

  • 出ている症状や現象の根本原因はにある
  • 脳機能の障害を探すためにも脳画像が必要
  • 脳卒中の種類を理解する
  • 脳梗塞は血管支配領域を把握する
  • 脳出血は脳画像から血腫の状態を把握する

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